「働く人のこころの健康相談室」 平成27~28年度の利用状況
2017年9月30日
茨城産業保健総合支援センター(旧 茨城産業保健推進センター)では、2007年12月から、「働く人のこころの健康相談室」を設け、勤労者のメンタルヘルスに関する相談を受け付けてまいりました。
このたび、平成27~28年度の利用状況を、下記のとおり取りまとめましたので、お知らせいたします。
平成27~28年度「働く人のこころの健康相談室」の利用状況
1.相談期間 平成27年4月3日~平成29年3月20日
28年度 | 27年度 | 26年度 | 25年度 | 24年度 | 23年度 | 22年度 | |
2.相談日数 | 46日 | 44日 | 45日 | 41日 | 75日 | 65日 | 38日 |
3.延人数 | 41名 | 50名 | 63名 | 64名 | 102名 | 123名 | 71名 |
3.実人数 | 41名 | 46名 | 53名 | 54名 | 83名 | 99名 | 44名 |
4.件数推移 | 65件 | 82件 | 131件 | 176件 | 315件 | 373件 | 228件 |
5-1.相談結果
- 年代別: 40代(40%)・30代・50代(20%)・20代(16%)、この4世代で96%を占めた。
- 働き盛りが非常に多かった。
- 厳しい職場環境の中、上司・労働者共に不調者対応・復職対応に悩んで相談が増加した。
企業として、どう対応すれば良いかの相談が圧倒的に増加した。
男女比 男:女=26:24でほぼ同数、
(26・25・24年度=6:4 23年度=7:3)
遠距離からの相談が増えた。
相談内容:①職場の問題 ②メンタル疾患 ③家庭の問題の順に多かった。
職場問題 メンタル疾患 自身生き方 家庭問題 27年度 67% 21% 8% 5% 28年度 71% 25% 2% 3% - 職場問題: 人間関係・仕事負担・仕事不適性からメンタル不調が加わる相談が多かった。
- メンタル疾患: 対応困難事例が増加した。
- 上司が相談: 不調者の対応相談や休業前・復職中後の対処方法の相談
- 本人が相談: 復職を巡り職場と紛糾・現状打開対応が困難な相談が増えた。
- 月別:4月・7月・10月~12月が多かった。職場異動と職務内容変化の相談多かった。
- メンタル問題: 職場の問題+個人の性格関与の傾向が増加し相談対応が難しくなっている。
5-2.相談の対応
- 複数重複事例・原則3回だが、情報提供や未受診者では「受診を勧める」等の支援をした。
傾聴・現状把握と問題の明確化・整理して納得後、情報提供やリファー(未受診者)迄の支援をした。 - 傾聴しつつ、現状が少しでも軽減する方法・対処法を一緒に考え、出来る事を探した。
- 重症例は、主治医了解後に、変動する気持ちを自己理解・状況把握と対処できるように配慮した。
- 状態改善のため、受診勧奨、生活リズム(睡眠・生活習慣)の改善、自己対処法の支援をした。
- 上司相談事例は、双方の面談を推奨して問題の明確化、職場対処法・職場適応への支援をした。
5-3.相談者の反応・感想
- 「誰にも言えなかった事を話せて落ち着けた。良かった」
- 「今の問題点(状況・気持ち)が理解できた」
- 「問題点が明確になった」 「問題の対処方法が分り実行の道筋ができた」
- 困難事例は、「産業医・主治医と連携し対処法の意見・指導聴取」等具体的対処法の支援をした。
- 事例によっては、休業から復職・転職(適職探し)への支援をし、熟考・準備行動に移せた。
6.カウンセラーとして提案したいこと
近年「レジリエンス(ストレスの回復力・防御力・再起力)」を高め、「レジリエンスの高い健康な人つくりで働きやすく活力ある職場つくりに取り組む企業・組織も増えてきている」が、相談では程遠い感じがある。
- 心の健康対策は、早期発見で悪化防止、休業者には適切な支援で職場復帰の手助けが望ましい。
- ストレスチェック制度の法制化で、28年度は職場での対応が必須となり相談数は減少傾向にある。
- 一方で、小規模事業場(50人以下)で体制が猶予、または、50人以上で体制不充分な事業場では、メンタル不調者・その他の対応困難事例に悩む事業者側の相談があった。
→ 発生防止: 教育の実施で、全員が知識を持ち「自発的相談が可能な職場風土作り」が望ましい。 - 休業者対応は、主治医と相談し「リワーク支援センターやデイケア等」時期に応じた適切な対処をして復職可能な条件作り・再発防止のための対処法等の自己理解ができると、本人・企業双方のメリットは大きい。
復職支援に制度の利用やメリットなどの情報提供も合わせて、効果的な復職支援が望ましい。
- 復職後6カ月は不調の波がある。1年くらいは再発・悪化させないために外見の判断に頼らず、周囲の人が、対話で確認し適切な対応ができるように知識を持ち、理解と配慮・支援が望ましい。
- 組織の発展・損失やリスク低減には、「全員が知識を持ち早期発見・早期対応で不調者を出さない」ことが望ましい。研修などで知識の共有化・早めの相談をされたい。
◆平成27~28年度の相談状況
※1 相談時間は、概ね1時間程度以内としている。
また、相談方法は面談又は電話。費用は無料(通話代は相談者負担)。