「働く人のこころの健康相談室」 平成30年度の利用状況
茨城産業保健総合支援センターでは、2007年12月から、「働く人のこころの健康相談室」を設け、勤労者のメンタルヘルスに関する相談を受け付けてまいりました。
このたび、平成30年度の利用状況を、下記のとおり取りまとめましたので、お知らせいたします。
1.相談期間 | 平成30年4月6日~平成29年3月29日 | ||
2.相談日数 |
30年度 | 29年度 | 28年度 |
48日 | 47日 | 46日 | |
3.相談者数 | 43名/93件 (実人数37名) |
30名/55件 (実人数30名) |
41名/65件 (実人数41名) |
4.相談結果・概要:
4-1) 相談者年代別 ・男:女=4:6 昨年と反転した
40代 | 50代 | 20代 | 30代 |
51% | 25% | 12% | 7% |
4-2) 職場問題
仕事・人間関係・パワハラ | 53% | メンタル不調 | 37% |
4-3) 規模別相談者
50人以下 | 50-100人 | 100-300人 |
54% | 20% | 17% |
4-4) 職種別相談者
労働者 | 事業主・労務担当者 | 家族 |
49% | 40% | 15% |
4-5) 特徴
・ストレスチェック制度導入前の26年度比で、3割減少となった。
・ストレスチェック法制化で、企業内産業医面談対応の効果が出たと思える。
・年代別: 40代・50代の相談の多さが持続、30代が徐々に減少した。 (理由不明)
4-6) メンタル問題:職場で対応困難な相談が増加した。(個人の性格特性+職場の問題化)
(1) 企業側: 「対応困難事例の打開策」についての相談」が増加した。
①個人の性格特性・訴えに対し、職場が対応に困惑・対処法についての相談が多かった。
②余裕ない職場環境で、対応困難な不調者対応・復職対応に悩む深刻な相談が多かった。
(2) 労働者側:
①「職場の問題(仕事・人間関係・パワハラ)」の打開策」の相談」が増加した。
②事例性: 性格傾向と職務・組織の要求間で仕事が上手く出来ない。
・発達障害が想定される「ミス多発・拘り・対人会話苦手→人間関係悪化・パワハラ惹起」
→メンタル不調化」の経過を辿る適応困難事例の相談が増加した。
・妻の相談が増加。「夫の休業長期化で、生活苦・復職・雇用継続についての将来不安」。
③疾病性: 心身疾患で病状・体調の波に悩みつつ何とか復職したい。対処方法の悩みなど。
5.相談の対応
・複数重複する重症の面談者は、傾聴で変動する気持ちに添いつつ状況把握をし、問題の整理と
明確化をして「自己理解」を支援した。納得・了解を得られた場合はリファーまで支援した。
・転職希望者は、適職・必要条件探しの情報収集、現状での資格取得準備等の情報提供をした。
1)傾聴しつつ、現状が少しでも軽減する方法・対処法を一緒に考え、出来る事を探した。
2)複数重複する事例、問題発生リスクの高い相談者対応の初回対応は難しいが、
・必要度に応じて、優先度の高い問題の可能な対応・事故防止対策を提案した。
・受診の必要性と受診勧奨した。 再度相談も可能と伝え最善を尽くした。
3)状態改善のためのセルフケア
①自己の現状理解支援 ②生活リズム改善(睡眠・生活習慣)
4)企業側相談事例は、面談内容から問題の把握、適応のための職場対応の支援をした。
また、問題の明確化・適切な支援のために、可能なら問題者の面談を推奨、面談に繋げた。
実現事例では問題者と会社側の認識に乖離があり、より適切なリスク防止策・支援ができた。
6.カウンセラーとして感想・提案したいこと
感想:①ストレスチェック法制化で、企業対応の効果が出ているが、相談できない重症者もいる。
②小規模事業場は、知識・対応の理解が不十分で、メンタルヘルス教育の必要性を感じた。
1)心の健康対策は、早期発見で悪化防止、休業者には適切な職場復帰の支援が望ましい。
(ⅰ)発生防止: 「自発的相談が可能な職場風土作り」、全員が知識を持ち
対処できる事が望ましい。
(ⅱ)復職と再発防止: 「適切な対処・復職しやすい状況を作り」、復職のルール・上手な
対処をして時期に応じて主治医や産業医と連携・相談し、再発防止をする事が望ましい。
2)組織の発展・損失やリスク低減には、「全員が知識を持ち早期発見・早期対応が望ましい。」
産業保健総合支援センター等の研修(無料)の利用などで知識の共有・早めの相談をされたい。